福祉住環境コーディネーターの仕事

介護が必要な人や障がいを持った人にとって、住み慣れた住まいで生活を継続するためには安全で住みやすい環境を提案する福祉住環境コーディネーター。その役割や仕事内容について解説します。

医療・福祉・建築の知識を活かして住環境を整えるコーディネーター

福祉住環境コーディネーターは、医療・福祉・建築の幅広い知識を活かして高齢者や障がい者が住みやすい環境を提案するアドバイザーです。
1999年に東京商工会議所が認定する公的資格として誕生して以来、福祉住環境コーディネーター検定試験®️に合格した人は約65万人にのぼります(2022年3月時点)。
高齢者や障がい者が住みやすい環境を整備するには、医師やケアマネジャー、建築士などさまざまな専門職の意見を反映させなければなりません。福祉住環境コーディネーターはそれらの専門職と、利用者(高齢者・障がい者本人またはその家族)をつなぐ架け橋(コーディネーター)となります。

実務に活かすなら2級以上の資格を取りましょう

福祉住環境コーディネーターには3級・2級・1級があります。
3級は生活者視点での基礎知識を習得しているレベルです。
2級では利用者の課題に対して専門職と連携しながら解決策を提案するなど、実務に活かせる程度の知識・能力が求められます。
1級になると住宅改修・新築のプランニングや、住まいを超えたまちづくりへの参画など、幅広い活動ができる知識・能力が求められます。

各級の基準

3級生活者視点での基礎知識
・超高齢社会における生活者として、知っておくべき福祉の基本的な知識を理解している
・子どもから高齢者の全世代を対象に、生活者の視点から地域コミュニティ・まちづくりを含んだ「福祉住環境整備の基礎知識」を理解している
2級実務に活かせる程度の知識・能力
・介護・医療・福祉・建築、福祉用具に関する専門知識を、実務に適用できるレベルで理解し身につけている
・福祉住環境に関するさまざまな問題点を抽出でき、クライアントのニーズ、経済的状況、福祉制度、住宅環境、福祉用具等を総合的に勘案し、各専門職と連携して最適な解決策を提案できる知識・技術を有している
1級住まいやまちづくりなど幅広い活動ができる知識・能力
・住まいにとどまらず、日常生活圏全般や社会福祉施設を視野に入れた住環境に関わる知識・技術を有している
・地域社会のコーディネーターとしての能力や、福祉のまちづくりなどにも積極的に助言できるような知識・調整力を有している
参照:東京商工会議所検定サイト

 福祉住環境コーディネーターにできること

住宅改修・新築など住環境のアドバイス

ケアマネジャーなど利用者の状態を把握している専門職と連携しながら、住宅改修や新築のアドバイスをします。住宅改修の例としては廊下と部屋の段差をなくす、手すりをつける、ドアノブを回して押し開ける開き戸から、扉をスライドして開閉する引き戸に交換するなどが挙げられます。
また、福祉住環境コーディネーター2級以上を持っていれば、住宅改修費支給の申請に必要な理由書を作成することができます
そのため、高齢者や障がい者向けの住宅改修に対応できるよう、福祉住環境コーディネーターの資格を取得する建築士もいます。

福祉用具など日常的に使う用具のアドバイス

住まいだけでなく、福祉用具や介護用具といった日常的に使う道具のアドバイスもおこないます。利用者の身体の状態や日常生活の状況に合わせて、数多くある用具の情報を提供したり、選定をサポートしたりします。福祉用具に関する専門職には福祉用具専門相談員がありますが、キャリアアップのために福祉住環境コーディネーターを取得するケースもあります。

福祉住環境コーディネーターの将来性

「住み慣れた自宅で暮らしたい」「自立した生活を送りたい」というニーズの高まりから、高齢者や障がい者またはその家族の間で、住宅の改修を検討する人が増えています。実際、2018年度における介護保険制度を利用した住宅改修件数は46万件にのぼりました(参考:厚生労働省)。包括的なケアが重視される中で、医療・福祉・建築の専門職と利用者の仲介役として、福祉住環境コーディネーターの活躍が期待されます。

医療・福祉・建築関係の求人では、福祉住環境コーディネーター資格を歓迎しているものがあります。すでに医療・福祉・建築の資格を持っている方は、今後のキャリアアップとして検討してみてはいかがでしょうか。

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